強面なのに実はフレンドリー!シベリアンハスキーの魅力を紹介

かつて日本で爆発的な人気を得たシベリアンハスキー。

いかつい外見が特徴的な犬種ですが、実はフレンドリーなのでしょうか?

シベリアンハスキーの上手な飼い方と共に紹介します。


古くからシベリアで橇を引いていたシベリアンハスキー

シベリアンハスキーはシベリアのチュクチ半島原産だと言われています。

そこに古くから住むチュクチ族の人々に飼われて、橇を引いたり共に狩猟をしたりして暮らしていました。

体力があり寒さに強いシベリアンハスキーはチュクチ族の人々にとても大切にされていました。

シベリアンハスキーは狼の血を引いているともいわれています。

風貌からすると確かに狼のような精悍さがありますね。

また、シベリアンハスキーの特徴でもある遠吠えも、狼の血を引いていることをうかがわせるものです。


アメリカ大陸に渡ったシベリアンハスキー

ベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に渡ったシベリアンハスキーは、そこでも橇犬として活躍していました。

その力強さとスタミナに注目した探検家のアムンセンが、極地を探検するときの犬橇に採用して有名になりました。

また、アラスカやカナダなどの寒冷地で行われる犬橇レースで、シベリアンハスキーのチームは優秀な成績を収めました。

シベリアンハスキーを最も有名にした出来事が、1925年にアラスカのノーム市でジフテリアが大流行したときの救援活動です。

マイナス50℃ともいわれる極寒の状況の中、500㎞以上もの距離を犬橇でリレーして血清を運び、多くの人命を救いました。

この活躍を讃え、犬橇チームのリーダー犬バルトの像がニューヨークのセントラルパークに建立されています。


ペットとして広まったシベリアンハスキー

シベリアンハスキーはアメリカに渡ってから徐々に家庭犬として認知されるようになりました。

野性的な風貌と、それに似合わない穏やかで友好的な性格が人気となり、改良を繰り返されて現代のような姿になりました。

シベリアンハスキーの性格は猫のようだとも言われています。

それは犬としてはあまり飼い主に媚びないところや、マイペースな性格ゆえのことだと思われます。

しかし家族には深い愛情を示し、特に子供には優しい犬種で、めったに怒るようなことはありません。

シベリアンハスキーの友好的な性格が形成された背景には、原産地チュクチ半島の過酷な気候があります。

簡単に言えば、気候が厳しいので皆と仲良くできなければ生き残れない世界なのです。

そのことがシベリアンハスキーの性格を友好的にしていったと言われています。

その他の特徴としては、左右の眼の色が違う神秘的なオッドアイや、狼のような遠吠え、キレイ好きなところなどが挙げられます。

犬は時々、食糞する個体が見られますが、シベリアンハスキーではそのようなことは見られません。

精悍さに加え、キレイ好きで無駄吠えしないところが、人気を獲得した要因だったのでしょう。


日本でもブームになったシベリアンハスキー

シベリアンハスキーは日本でも大ブームになりました。

最初のきっかけは映画「南極物語」だったと思われます。

この映画に登場した犬はシベリアンハスキーではなく樺太犬ですが、風貌はよく似ていて、原産地が近いので血筋も近いのでしょう。

この映画で橇引きの犬のカッコよさを認識した方は多かったはずです。

シベリアンハスキーの本格的なブームの火付け役となったのは、漫画「動物のお医者さん」です。

リアルでありながらかわいらしい絵で描かれた独特の隈取り模様の顔立ちが受け、瞬く間にシベリアンハスキーの名が広がりました。

しかし、このブームのときはシベリアンハスキーを飼育する知識の広まりが追いついておらず、上手く飼うことができずに無責任に手放す飼い主が続出しました。

現代ではシベリアンハスキーを飼育する知識も広まり、本当にシベリアンハスキーを愛する飼い主の方々によって飼育されている印象です。


シベリアンハスキーの上手な飼育方法

シベリアンハスキーは魅力的な犬種ですが、簡単に飼育できる犬種ではありません。

飼育のためには飼い主に以下のような点が求められます。


・たくさん運動させることができる

・夏は一日中エアコンをつけっぱなしにすることができる

・大量の抜け毛をケアすることができる

・動物病院に連れていくことができる


まず運動ですが、朝夕それぞれ1時間ずつ程度の運動をさせることが望ましいです。

はっきり言って、一人の飼い主がここまでできるのはかなり難しく、時間的に余裕がある人か、1日中犬と一緒にいたいほど溺愛している人しか難しいことだと思います。

理想的なのは、家族で代わるがわる散歩に連れて行くことで、家族ぐるみで世話をすることにもなり良いことだと思います。

若い飼い主さんで、見晴らしの良い田園地帯などを散歩できるのであれば、自転車で散歩しても良いと思います。

一般的には自転車で犬の散歩は危険なのですが、若い方はバランス感覚が優れているので、シベリアンハスキーと共に自転車で走ることができると思います。

ただしシベリアンハスキーは非常に力が強いので、飼い主ごと自転車を引き倒してしまうこともあります。

安全のためにヘルメットを着用して散歩するようにしてください。

また、見通しの悪い住宅地などでは危険ですから絶対に徒歩で散歩してください。

自転車を引っ張るような、負荷をかけて走らせることはシベリアンハスキーにとって非常に良い運動になります。

散歩するときは必ず飼い主の左右どちらか(基本は左側)を走らせるように仔犬の頃からしつけましょう。

続いて夏の暑さ対策ですが、シベリアンハスキーの故郷はマイナス30℃を下回るような極寒の地です。

日本で飼うなら冷凍庫の中でも良いくらいに環境が違い過ぎるのです。

ですから日本の夏を乗り越えるには冷房は欠かせません。

愛犬のために電気代を惜しまない人でなければ、飼育することはできないでしょう。

そして換毛期には大量の抜け毛があります。

抜け毛だけで布団ができるのではないかというほど抜けます。

これも1つの暑さ対策になりますが、こまめなブラッシングは欠かせません。

皮膚病を防ぐためにも、必ず行ってほしいことの1つです。

次に動物病院ですが、シベリアンハスキーは暑さに弱いために皮膚病にかかりやすく、常に注意してあげてほしい点です。

また、毎年の予防接種やフィラリア予防のための検査・体重測定など、年に何度も動物病院に連れて行くことが必要です。

そこで問題になるのがシベリアンハスキーの巨体で、平均して約25㎏ほどになります。

病院に連れて行くだけでも苦労するでしょうし、診察台に乗せるためには持ち上げなければなりません。

場合によっては車に乗せることに慣れさせることが必要で、さらに普段から「抱っこ」に慣れさせておくことも重要です。


シベリアンハスキーを飼うと、こんなにいいことが!

シベリアンハスキーの魅力はたくさんあります。

シベリアンハスキーは体臭が少ない犬種であり、しかもキレイ好きなので、室内で問題なく飼育することができます。

こんなに大きな犬が室内を自由に歩いている様子は、ちょっとしたムツゴロウさん状態です。

ソファーで一緒にくつろげば、猛獣遣いにでもなったような気分です。

毎日、非日常的な経験ができることでしょう。

シベリアンハスキーの魅力は、散歩のときにも発揮されます。

その精悍な風貌から、人に声をかけられることが多いのです。

たちまち街の人気者になり、犬友達が増えることでしょう。

めったに吠えることがないので、犬好きな人は安心して近づいてきます。

ただし嬉しさのあまり飛びかからないように注意はしておきましょう。

シベリアンハスキーを飼うと多くの運動が必要だと述べましたが、それは飼い主にとって良いことでもあります。

犬のために規則正しい生活が求められ、飼い主の生活リズムまで良くなります。

そして多くの運動は愛犬のみならず飼い主の健康にも影響し、体力がつき体型もスリムになります。

それは新しいスニーカーを購入するのと似たような、走りたくなる衝動に駆られる現象です。


シベリアンハスキーと一緒に楽しもう!

シベリアンハスキーを飼育するなら、ぜひやってみてほしいことがあります。

まずは取り組みやすいものから順番にご紹介し、だんだん難易度の高いものをご紹介していきます。


ドッグラン

シベリアンハスキーは走るのが大好きな犬種です。

何といっても走ることが仕事というDNAが組み込まれていますから、無尽蔵のスタミナでどこまでも走ります。

ドッグランは愛犬に社会性を身につけさせることもできる貴重な社交場でもあります。

さまざまな経験を積んだ犬は多少のことでは動じなくなり、度胸があり落ち着きのある穏やかな性格になります。

ドッグランを利用するときに注意してほしいことは、犬のサイズによってコースが分かれている場合もあることです。

小型犬専用のドッグランに入ってしまって怪我をさせたら大変です。

シベリアンハスキーのほうから他犬を攻撃することはほとんどありませんが、何しろ力が強いので、じゃれているだけでも怪我をさせる可能性があります。

逆にシベリアンハスキーが攻撃されて、いつの間にか血を流してるなんてことはあります。

その場合でもめったに取り乱さないので飼い主が気が付かないことがあります。


犬橇

シベリアンハスキーの能力が最も発揮されるときが犬橇を引くときです。

寒冷地に行くと犬橇レースが開催されていることがあります。

踏みしめる雪の冷たさがシベリアンハスキーの気持ちを高揚させ、いつも以上の力強さを見せてくれるはずです。

橇はとても高価なものであり、手に入れることは簡単ではありませんが、橇をレンタルできるところもあります。

シベリアンハスキーを飼育したら、ぜひ犬橇に挑戦してみてください。

普段見られない精悍な姿を見せてくれるはずです。


ドッグショー

最後にご紹介するのはドッグショーです。

シベリアンハスキーのドッグショーでは、美しい犬たちがたくさん集まり、その見事な姿を披露します。

参加するだけなら血統書のある犬でエントリーするだけで可能ですが、そこで入賞するとなると簡単なことではありません。

毛並みを保つためにトリマーにシャンプーを依頼するなど、日頃の手入れがものをいいます。

ドッグショーで犬と一緒に走る人(ハンドラーといいます)にも技術が要求され、専門の人もいます。

入賞するためにプロのハンドラーに依頼する人もいるほどです。

ただし、楽しむことが目的であれば、そこまですることはないでしょう。

颯爽と走る愛犬を見ているだけでも、きっと楽しめるはずです。


まとめ

シベリアンハスキーは強面でありながら友好的な性格です。

飼い方に注意する点はいくつかありますが、飼い主が深い愛情で接すればそのぶん応えてくれるのです。

魅力たっぷりなシベリアンハスキーと共に、素敵な日常を過ごしてください。