「みんなそれぞれ、みんないい!たべもののアレルギーってな〜に?」の挿絵

OVERVIEW

東海大学の病院ボランティアプロジェクトが制作する絵本の挿絵を描かせていただきました。制作期間:2020.08-2021.01

YEAR 2020

何をしたか?

東海大学の病院ボランティアプロジェクトが毎年制作する絵本の2020年版、食物アレルギーをテーマとした「みんなそれぞれ、みんないい!たべもののアレルギーってな〜に?」の挿絵を描かせていただきました。

なぜやったか?

小さい頃から絵を描くことが好きで絵本を描いてみたいなと思っていたので、募集が来た時すぐに「やりたい!」と声を上げました。

絵本は小さい頃にはよく読んでいたのですが、大学生になるまでは全く読まず過ごしていました。しかし大学生になって改めて絵本を見るようになって小さい頃には気づかなかった部分に気づいたり、小さい頃は子供視点でしか読めなかったのが親視点を想像できたり、絵本とは成長と共に一生楽しめるものだと思いました。そのため、また絵本を今度は脚本から製作したいです。

どのようにしたか?

同じ学内の団体とは言え面識がなかったため、病院ボランティアプロジェクトの方との顔合わせから始まりました。脚本を共有していただき、キャラデザインからはじめました。
キャラクター主人公二人と、食物のアレルギーに大きく関わるIge細胞、マスト細胞の四人がいて、その容姿から考えました。主人公二人は男女で幼稚園生、それぞれ食物のアレルギーを持っているということのみ決まっていて、あとは自分で決めなければなりませんでした。私はそれまであまり子供を見てこなかったため、まずは観察から始めました。写真の投稿サイトや動画投稿サイトで検索して見てみたり、道ゆく子供をじっくり見てみたり、唯一仲がよかった小学校低学年の女の子の可愛さを分析してみたり....。その結果いくつか子供らしいポイント、可愛いポイントを発見し絵に落とし込むようデザイン案を出しながらそのポイントを押さえた書き方を反復しました。ポイントとしては、ほっぺのぷっくり感を出す(線を足すとほうれい線ぽくなるため輪郭の丸みで)、頭でっかちな頭身(スカートが長く見えストーン!としている)二つの部分です。

Ige細胞、マスト細胞については何でもいいという訳ではなくとも表現の幅が広いと感じとにかく思いついたら描くというのを意識しました。また、そこから病院ボランティアの方に表現として適切かを聞きながら進めました。

キャラクターのデザインが決まると、場面設定と配置を考えました。場面設定とその時の要素の置き方を検討し、ラフに起こしました。注意したところは人が瞬間移動することがないこと、しかし単調にならないようにすることに気をつけました。

ラフが完成した時に人に見てもらい、意見をもらいながら修正をしました。


ラフが完成し、病院ボランティアプロジェクトの方にOKを貰い、清書・文字の配置をしました。清書は「clip studio paint」文字入れは「Illustrator」を使用しました。


発見・学び

いちばんの発見は子供のかわいさ!

学びとしては、飽きさせないページ作りをしようというです。ラフの段階で登場人物が変に移動してしまわないよう気をつけていました。しかしそればかりになってしまい、大体のページで主人公二人が並んでこちらに向かっているだけになってしまっていました。一枚一枚で良い!と思っても絵として繋がりがなければ続きは気になりません。絵本とはただ絵を並べるものでなく、ページを捲るのがワクワクするような作り方をしていきたいと思いました。


制作後の作文

    「子供のかわいさってなに?」

 私はかわいいものが好き。でも小さい子は苦手だった。サンリオのキャラクターや、ミッフィーちゃん、動物をモチーフにしたかわいいキャラクターは大好き。でも人の子はあまりかわいいとは思えない...。他にも少しジャンルは違うかもしれないけどかわいいアイドルは好きだし、かわいいお菓子も好きだ。こんなにかわいいものが好きなのにかわいい赤ちゃん・子供は全然好きじゃなかった。
 大学二年生の時に大学のプロジェクトが製作する絵本の挿絵を描く人を募集していて自分はすぐにやりたい!と思った。そこでは、主人公が幼稚園生で これまで子供をあまり描いてこなかった自分ではすぐに「これだ!」というキャラデザインができなかった。しかしいざ絵本を描くとなるとやっぱりかわいい子供を描きたい。しかしかわいい子供を鼻は省略して目はまん丸で輪郭もまん丸で...とそのままイメージのかわいいだけで描いたらそれはなんだか違う気がした。
 子供に苦手意識があったのはいつからだろう。随分最近まで自分も子供だったわけだから、子供が子供に対して思う苦手は同族嫌悪的な意味があってまた違う気がする。でも例えば、小学生でも小さい子を好きな子はいるし案外同じなのかも。というよりそもそも自分は同い年の子でも話すのが苦手でその時自分も小さかったけどそのイメージが子供についてしまったのかもしれない。しかし高校生の頃、家から最寄り駅までの間を小学校低学年くらいで同じマンションの女の子と手を繋いで一緒に行っていたことがあった。低学年くらいとちゃんとした学年がわからなかったのはその子の滑舌が悪く、なんと言っていたかいまいち聞き取れていなかったからだ。名前もぼんやりで今となっては忘れてしまった。悲しい。私はその時も子供は苦手で別に可愛くないと思っていたが、その子のことは好きだった。ぎゅっと手を繋いでくれて嬉しかったし、言っていることが聞き取れないことはあったけど楽しかった。いつもその子は自分から楽しそうに喋ってくれた。それを見ているだけで楽しい。約束していたわけではなく確か最初はエレベーターでよく一緒になっていた気がする。自分が遅刻間際で走って行ってしまったこともある。いつからか自分に遅刻が増えて三年生の最後の方は登校も減ったためその子と一緒に歩くことは無くなってしまった。しばらく経ってからたまに見かけても「覚えてないだろうな」「友達といるの邪魔しちゃ悪いな」と思って手を振ることも無くなってしまった。これはただの自分の嫌なところ。その子のおかげで子供は苦手、でもあの子はかわいい好き。になった。
 絵本を書くにあたって用意された脚本をもらった。そこには「登場人物:男の子(制服・5歳・小麦アレルギー)女の子(制服・5歳・乳製品アレルギー)」とあった。自分が子供を描こうと思うと想像ばっかりで良く描けない。そもそも子供ってどんな感じだっけ?そこでinstagramで#幼稚園生と検索し投稿されている写真を模写したりよく見てみたり、youtubeで子供を撮っている動画を見たりした。登場人物のキャラデザインをする時、年齢は少し違うが高校生の頃に一緒に駅まで行っていた子を思い出した。その子が自分にとっての子供のかわいさのヒントとなって他の子供との共通点を探した。どこの部分がかわいいのだろう。
 そうやって描いていた結果気づいたことがあった。それは...ほっぺがかわいい!!ほっぺがまんまるすぎてシワのような線が入っている。輪郭も丸くほっぺがはみ出ている。上から見てもほっぺが出ている。それと写真を見ているとキョトンとした顔をしてるものが多い。キョトン顔がかわいいのか、よくそういう顔をしているのかどっちなんだろう。あんまりはっきり綺麗な笑顔!で笑っていることは少ないように見えた。制服を着ていてもなんだか着せられている感があっておもしろい。また、そうやって特徴を探しているとそこら辺を歩いている小さい子にも目が行くようになった。すると今度は体のバランスが面白くなってきた。なんかこう全体的に小さい。今まであまり目でおわなかった存在が急に面白くなった。
 そう言った気づきを経てキャラクターのデザインが完成した。描くときに注意したことはやっぱり頬の丸みだ。かと言って線を足すとシワのようになってしまうので輪郭をおかめ納豆を意識して描くようにした。体のバランスも、特に制服を着ている女の子のスカートのなんとも言えない丈というかストーンという感じを出すことを考えた。
 その後全体の一枚一枚のページを考える時その二人の登場人物の動きにも注意した。注意しすぎて二人がずっと同じ位置にいて同じカメラで撮っていて、のような動きのない退屈なものになってしまった時もあったが、あくまでも瞬間移動はしないようにと心がけて作成した。また読者側が楽しいような工夫もした。前ページとの繋がりはありながら予想しないような動きや背景を考えた。一番自分が気に入っているのは二人が揃って足の間から顔を出す場面だ。流れとは特に関係のないポーズだが、描いていて楽しかった。ちなみに次のページで二人は急に頭を下げたのでクラっとして頭は押さえている。楽しく描いて終わってしまった今回だがこの描写が本当に読む人にとって楽しいものなのかはまだ確かめられていない。これからの作品作りではまず良く見ること・観察を一番に、それが見る人、使う人にとって本当に適切なものなのかを考えて作品作りを行なっていきたい。



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