今回のソーシャルデザインキャンプでは、私たちのチームは神奈川県真鶴町をテーマに取り組みました。真鶴は県内でも特に高齢化率が高い地域で、「神奈川県で最初に衰退化したまち」とも呼ばれるほど、人口減少や地域活力の低下が深刻な課題になっています。最初は自分たちの住む地域とは違う現実に驚きつつ、どうすればこのまちを少しでも元気づけられるのかを真剣に考え始めました。

真鶴について調べるうちに、高齢者の割合が高いことが問題の“根っこ”ではなく、むしろ「高齢者こそ地域を支える大事な存在になり得る」という可能性に気づきました。そこで私たちは、老人を弱者として扱うのではなく、むしろ地域の主役として活躍できる仕組みづくりを考えました。高齢者がまちの魅力を発信したり、観光客と交流したりできる企画を軸に、地域を外側からではなく“内側から”盛り上げていくアイデアをまとめていきました。

このプロセスでは、町の現状を数字だけで判断するのではなく、「そこで暮らす人の思い」や「地域の歴史」に寄り添うことの大切さを学びました。調べれば調べるほど、真鶴には文化や自然、そして長い時間を生きてきた人々の知恵が詰まっていて、それをどう活かすかが鍵だと感じるようになりました。

最終プレゼンでは、高齢者が主体となって地域を盛り上げるアイデアを、背景や根拠とともに丁寧に伝えました。その結果、優勝という形で評価していただくことができました。自分たちの視点が地域の未来につながる可能性を持つと実感できたことは、大きな達成感と自信につながりました。

今回の経験を通して、「課題の裏側には必ず可能性がある」ということを強く学びました。誰かを助けるためのデザインではなく、地域に寄り添い、そこで暮らす人々と一緒に未来をつくる視点こそが、ソーシャルデザインの本質なのだと感じました。この気づきは、これからの探究やプロジェクト活動にも必ず活きていくと思います。