「来た、見た、帰った展」

OVERVIEW

「架空の展覧会を作る」というテーマの元、演習授業内でチームを編成し、制作した展覧会案とプロトタイプです。

YEAR 2019 - 2019

共同制作:山下新之輔(カタログ制作)、吉岡直哉(キュレーション)

-- 概要

 大学の演習授業で「架空の展覧会をつくる」というテーマの元、共に授業を受けていた3人でチームを作り、一切のバックグラウンドを観覧者の前から取っ払い、作品をただ見たままに受容する展覧会を企画しました。

 私はキュレーションのサポートと、展覧会のポスター制作を担当しました。

-- 展覧会について

 こちらの説明スライドをご覧ください。


-- ポスターについて

 今回制作したポスターは、メンバーが制作した展覧会ロゴから着想を得ました。
 「来」「見」「帰」の3つの感じを単純化したロゴのうち、「見」が孤独な水中に沈んでいく雰囲気を表現しています。


 「来た、見た、帰った展」は、鑑賞者に全てを委ねる。展覧会自体も、カタログも、そしてポスターも、情報を極力省き、全てを鑑賞者の解釈に任せるべきである。チームメンバーとの話し合いでそう結論付けました。そのため、企画名を表すロゴを左下に、場所を表す新国立美術館のロゴを右下に配置し、それ以外の情報を削ぎ落としました。


 人間の体は、水中で思うように動けません。音もうまく拾えない、人間にとって完全な異空間。息もできない静寂の中で、視界だけはかろうじて、私たちに情報を届けてくれる。
 鑑賞者は、国立新美術館の中に作られた異空間に飛び込みます。圧倒的に作り込まれた作品の中で、声も出せず、ゆっくりと進み続けることしかできません。私たちはその中で、「見る」ことだけはかろうじて自由。

 この展覧会の異界性と、その中で唯一許された「見る」こと。この二つを、暗い水中で孤独に沈みゆく「見」のロゴを配置することで表現しました。


-- 成果

 リサーチと展示の構成を考え、コンセプトに沿った展示カタログ、ポスターのプロトタイプを発表するこの演習で、個人制作物の評価、チームの総合評価において、授業の最高評価(A+)をいただきました。


 余談ですが、他の班が家庭用プリンターで印刷→ホチキス製本などで最終提出を行う中、私たちのチームはカタログとポスターをキンコーズでガチ印刷・製本して提出しました。高評価には課金額で他の班を圧倒したのが反映されている……かも。