-跳ねる実力-


 先のページで、私は文化祭での成功体験を記した。その最後に、いずれかの形でこの経験が活きると信じていると残したがそれは意外にも早く役立つこととなる。

 2023年の夏、現在通っている学校で弁論大会が開かれることになった。「私の高校生活と夢」「自分の経験から学んだこと」「キャンパスをよりよくするために自分ができること」の3つのテーマから1つを選び、持ち時間3分で自分の意見を述べるものだ。弁論大会はキャンパス予選、県大会に相当する神奈川エリア予選、全国大会の3ブロックに分かれそれぞれ上位の人間が次の大会へ進出することができる。

 私は「私の高校生活と夢」というテーマをもとに、文化祭での経験を踏まえて私が感じたことを文章に起こし発表、結果としてキャンパス予選3位に入選した。

 キャンパス予選から神奈川エリア予選までの3週間に満たない短い時間の中、相手に聞き取りやすい話し方、適した速さについて先生に指導してもらうことで私は付け焼き刃程度ではあるもののさらに技術に磨きをかけ、神奈川エリア予選において2位という結果を残した。


 全国大会に出場できるのは各エリア1人ずつだったため私は惜しくもエリア予選止まりとなってしまったが、当初想像していた以上の結果を得ることができて満足できた。以下に弁論大会に使用した台本を記載する。




 皆様は夢をお持ちでしょうか。どれだけ小さいものでも構いません。あんな仕事に就きたいでも、あの大学に行きたいでも、少しでも目指すものがあればそれはあなたの夢になります。では夢があるあなたは、その夢を大衆の前で話すことができるでしょうか。私は胸を張って自分の夢を語れる人はそう多くないのではないかと思っています。それは誰しも自分の夢に自信を持てていないからです。誰かに馬鹿にされるかも、後ろ指を指されるかもと恐れているからです。

 私にはかつて小さな夢がありました。それは高校の文化祭でコーヒーカップを企画することです。想像してみてください、高校の教室の中に人の力で動くアスレチックのコーヒーカップを作ろうとしたのです。今あなた方が思ったように、この話を持ち込んだ当初周りからは非現実的だと言われましたが、賛同してくれた友人の協力のもと企画を成功させることができました。私は周りからどう思われようとも必ず企画を成功させる、実現させてみせると常に口にしていました。自らの夢を口にすることが、それを現実に近づける鍵になるのだと私は思っています。

 この話をすると決まって「成功したから浮ついたことを言える」「失敗した人の気持ちをわかってない」という意見が上がってきます。しかし、企画を成功させようとする私の前には予算案や安全性の保証、人員不足など多くの障害が立ち塞がりました。そこで私は友人たちと何度も協議を重ね試行錯誤し、とあるリフォーム会社に協力していただくことでそれらを解決させることができました。また、企画を持ち込んだ当初は新型コロナウイルスが蔓延し始めたばかりの頃だったので文化祭にも制限がかかり、運動を伴う大掛かりな企画は許可することはできないと言われてしまいました。しかしそこで私は諦めることなく、一年間企画を練り続け次年度でようやく実現させることができました。結果として企画は大盛況、その年で最もレベルの高い企画に選出されました。

 このことで私は自分の中で夢を形にするための術を学びました。私の意見が全て正しいとは言い切りませんが、夢を口にし仲間を募ることで私は自分の夢を叶えることができました。私には失敗を乗り越えた成功例があります。もし叶えたい夢があるのであればそれを人前で口にしてみてはいかがでしょうか、恐らく不安定なあなたの夢がより強固なものになるはずです。

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